東北大学

活動報告

淑徳与野中学・高等学校で出張講義を実施しました(10/7)

2025.10.20

10月7日(火)に淑徳与野中学・高等学校で出張講義を行いました。高校1年生~3年生の39名が参加しました。

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講師: 東北大学流体科学研究所 安西 眸 准教授
タイトル: 「からだの中の『流れ』」
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講義では、「からだの中の『流れ』」というタイトルで、東北大学工学部と流体科学研究所、そして工学の一分野である医工学分野について紹介しました。からだの中を流れる流体である「血液」を題材として、工学的アプローチによって生体内の状況を解明し、治療方法や医療機器の開発を行っていること、医工学が科学的な裏付けのある医療を支えていることを説明しました。

<質疑応答>

Q. 国によって動脈瘤破裂率が違うのはなぜか,というのを調べるためにはどのようなことが必要ですか?
A. まず第一に,調査にたくさんの国が参加する必要があります.第二に,疾患に影響する因子はたくさんあるので(遺伝子,生活要因,もちろん血流なども),「統計的に有意」な結果を得るためにたくさんの人のデータを調べる必要があります.そうなると,大量のデータを調べるための方法や仕組みを作る必要があります.医学と工学の連携,日本と海外の連携を通して,方法や仕組みを作っていきたいと考えています.

Q. 病気がなぜ起こるかが解明できていない理由には,どういったものがありますか?
A. からだの中で起こっていること・進行していくことを観察する(しつづける)ことは難しいため,例えばからだの外で細胞を培養してどんな反応をするかを調べる実験することがあります.しかし,そういった実験では,完全に体内の状態と同じである,とは言い難く,また患者さんそれぞれの個人差を含んでいるわけではありません.さらに前項でも述べた通り,病気になるにはたくさんの因子が関わっている場合が多く,その因子一つ一つを調べていくのはすごく大変です.

<生徒の感想>

  • 工学の面からでも人間の体内の血液の流れなどを研究して、医療に生かすことができるというところに驚きを感じました。流れの支配方程式など難しい計算式は今の自分では理解することはできなかったけれど、医者ではなくても医療にかかわることができるということに興味を持てました。
  • 直接病院で患者さんを治療したり、看護したりする以外にも病気で苦しんでいる人を助ける方法があることが分かりました。機械系のことはあまり医学に関係ないと思っていたけれど、今回この講座を受けたことで、医療にかかわるのにいろいろな方法があることが分かりました。今、興味のある薬学や今回学んだ医工学のほかに、どんな方法があるのか調べてみたくなりました。
  • 医工学について初めて詳しく聞きました。今回知ったこともほんの一部でしかないと思いますが、流体的なものの動きを見ることで、起こる確率の高い病状をあらかじめ知れたり、体の不調の原因を探れたりすることがわかりました。そして、脳動脈瘤などの研究を国単位で行っていることを知ることができました。これからは医工学についての情報にもっと積極的になろうと思います。研究応援しています!
  • 工学部でも医工学に行けば医療関係の研究ができるとわかり、医学とは別のアプローチの仕方で人体を調べていてかっこいいと思いました。時間はかかるけど細部まで詳しく調べることができるのは、病気の治療法や発生確率の予測を可能にするのだと知り、工学に対して興味がわきました。
  • 血管の腫瘍を治すにも人によって機械を使うかどうかを判断しており、病院でも実際に使われていることに驚きました。普段の学校の授業で学ばない、専門的な話を実際に聞くことができたので、とても面白かったです。東北大学の話もしてくださったので、大学の話も知ることができて有意義な時間になったと思います。ありがとうございました。
  • 物理と医学が結び付けられていることに驚きました。体の中で流れている流体を可視化するのは、大変そうですがすごく興味深かったです。東北大学についても色々教えてくださってよかったです。
  • 講座を受ける前までは、からだの中の流れといえば、生物が中心で物理の知識は何もいらないのだと思っていました。ですが、からだの血流をコンピュータシミュレーションで解析して病気にかかってしまう人の傾向を調べることなど、物理の視点も広く活用されているのだと知りました。医工学という新しい分野について学べてためになりました。ありがとうございました。

ご参加いただき、ありがとうございました。

東北大学工学系女性研究者育成支援推進室 ALicE
東北大学工学系女性研究者育成支援推進室 ALicE

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