東北大学

活動報告

東京都立多摩科学技術高等学校で出張講義を実施しました(12/24)

2025.01.15

12月24日(火)に東京都立多摩科学技術高等学校で出張講義を行いました。東北大学大学院工学研究科 窪田 亜矢 教授が講義を行い、高校1年生17名、高校2年生19名の計36名が参加しました。

—————–
講師:窪田 亜矢 教授 (東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻)
タイトル:「まちづくりってなんだろう?」
—————–

講義では、「まちづくり」の歴史と現在の状況を解説し、「まちづくりとは、住民の住民による住民のための行為=どのように暮らしたいのか?」ということを生徒に伝えました。

さらに、窪田教授が行った福島原発事故の被災地域におけるフィールドワークを例に、実際のまちづくりがどのように行われているかについて具体的に掘り下げ、まちづくりの意味について考える講義を行いました。

講義では、福島第一原発に隣接する双葉町の状況についての質問や、まちづくりを今後どう研究にしていくのかなど質問があり、窪田教授は(まちづくりについて)「再定義が必要と考えている」と説明しました。

<参加者からの感想>

  • 町を作ることはただいたずらに建物を建てて満足することだけではなく、いかにして地域を作り上げていくかなどと、かなりいろいろな事を考えながらやっていく必要があることに気付かされた。まちづくりに関してさらに関心が深まったのでとても良かった。

  • 祖父母が福島の伊達市に住んでいるので福島第一原発の事故は馴染み深いし、改めて浪江や小高の話を聞いてまちづくり、まちのこしという目標は一緒でもやり方や仕方での相違によって分裂がおこってしまうんだなぁと知りました。また、先生の現場の考え方や公共、デザイン、責任の意味について深く考え、それを実際に取り組むというのが素晴らしいと思いました。まちづくりとは自分が考えていた意味とは違い、住民の住民による住民のためのものであり、なによりどう暮らしたいが大切というのが、自分のしたいことと一部被っていて親近感がわきました。自分は工業デザイン、製品をデザインして物を作り出すことがしたいので、住民、使用者に対し還元するのは大切だと思いました。とてもタメになる講演をありがとうございました。

  • 津波から守るために、自分で考えて行動すること、情報をあまり信じないことが大切だということを知りました。このことを覚えておきたいです。また、将来のまちづくりがどのようなものになるのか考えてみたいです。

  • 災害って恐ろしいと改めて思った。復興のことまで考えなくてはいけないし、考える中でみんなの考えを汲み取らなくてはいけなくて、最適解はきっと出せないんだろうなと思いました。元々町というコミュニティで協力しあっていた人たちで分断が起こってしまったり、大好きな場所に帰りたくても帰れない現実があることに、憤りを感じました。将来、環境工学の方面に進みたいと思っているので、そう言った人たちの手助けができたらいいなと思います。

  • 震災後の復興は、戻る人や子どもなど主体としてみる人によって求めている行動がだいぶ違うのだなと思った。

  • とても興味深い講演をして下さってありがとうございました。まちづくりというのは今まで行政や企業が行うことというイメージがありましたが、今回の講演を聞いて地域の人たちが協力して行うことであると知ってとても驚きました。私は防災分野に興味があって、現在学校の課題研究①で防潮堤の研究を行っています。まちづくりの本来の言葉の意味を忘れないようにしながら、住民の人たちのことを考えながら研究を進めていきたいと思います。

  • まちづくりは復興や町おこしというイメージだったが、ほとんど0になってしまった町をまた作り直すということもまちづくりということを知った。草創期の「まちを守る」という考えも非常に共感できるが、地域の人とともにまちをつくるということも大切だと思う。日本は平和であると思うが、平和だけでなく人と人とをつなぐ故郷のような温かさも必要だと思う。まちづくりで震災のような悲しい話をできるだけなくせられるようにできると良いと思う。

  • まちづくりは公共の事業としてではなく、住民による住民のためのものだと分かった。自分の住んでいる故郷のあり方について考えてみようと思った。

  • 「公共」と普段から使っていた言葉でも意味としては、公と共それぞれが対立し合っており、その間には個の尊重も考えられているということの考え方を知り、とてもためになりました。また、本テーマである「まちづくり」とは住民の住民による住民のための行為のことで、どのように暮らしたいのかということだということがわかりました。まちづくりに関わることによって自分自身の暮らし方が変わってきたり、どのように暮らすか、それを実現することによってまちづくりにつながるといった2つの関係性が見えてきて、今後の研究で役立ってくる考え方ではないかと思いました。窪田先生のおっしゃっていた覚えていてほしいことの3つとして「1.想定を信じるな、自分で考えろ 2.如何なる状況にあっても最善を尽くせ 3.最初の避難たれ」、これらは災害の時に役立つだけでなく人生教訓としても役に立つとお聞きし、しっかりと覚えておきたいと思いました。見えない存在を可視化することや問題を課題化すること、responsibility, liability, accountabilityの責任の意味の違い、反実仮想など本当にたくさんのことを学ぶ機会になりました。可視化することに関しては、今まで自分が知らなかった今起こっている公害のことを、この講義を通して知ったため広めていくことの大切さがわかりました。最後に、二学年時に進めていく課題研究では現時点では、地震などの自然災害と建築の観点に着目したいと考えており、この機会でも東北、特に福島においての津波や原発などについて実際の事をもとに講義していただき、自分が研究していきたい分野と重なることが多いため、学んだことをしっかり記録して活かしていきたいです。

  • 今回の講義を通して、まちづくりがどのようなものなのか知ることができました。まちづくりは文理の枠を超えた面白い議題だと思うので、今回学んだことを今後にいかして行こうと思います。

  • まちづくりの意味が時代ごとに変化していることは初めて知りました。まちづくりを調べたら、地域住民の生活環境を改善し、地域の魅力や活力を高めるための活動と出てきたので、意味が変化しているということは知られてないので、とても興味深かったです。過去の出来事に基づいたお話だったので、何が大事でどうするべきとかが分かりやすく、今日聞いた話は研究に関係ある理数以外の必要な知識が多く使われていたので、やはり自分の専門の知識だけでなく、広く知識を吸収していこうと思いました。

  • 話がとても具体的で、実際に起きたことに即しているので、すんなりと概念を理解できたと思います。震災についてやいくつかの東北の場所にとても詳しく、確かに現場や反実仮想を大切にしているという風に感じられました。また、まちづくりの未来についても、現代化や近代以降の場所に囚われない考えをもとに話している様に思えたので、ステレオタイプでない良い意見を提示してくださったと思えます。やはり大切なことは、自分が信じれる現場をもち、しっかり芯の通った意見を発信できるようになることだと考えています。

ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。

東北大学工学系女性研究者育成支援推進室 ALicE
東北大学工学系女性研究者育成支援推進室 ALicE

東北大学工学系女性研究者育成支援推進室 ALicE ページトップ